ポルシェがシーズン11に向け、新しいカラーリングを発表。大幅な”イメチェン”。【フォーミュラE】

ポルシェがシーズン11に向け、新しいカラーリングを発表。大幅な”イメチェン”。【フォーミュラE】

10月24日、タグホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチームはシーズン11とシーズン12で使用する新しいカラーリングを発表。シーズン6から受け継がれてきた”赤白黒”のカラーリングから脱却し、メタリックパープルと緑がかったシルバーを組み合わせた新しいカラーリングとなった。また、シーズン10のドライバーズチャンピオンであるパスカル・ヴェアラインは、カーナンバー”1番”を使用することも明らかになった。

©︎ Porsche

今回新たに採用されたカラーリングは、「パープルスカイメタリック」と「シェイドグリーンメタリック」である。この2つのカラーリングは2024年2月にビッグマイナーチェンジされたポルシェのEVロードカー、「ポルシェ タイカン ターボGT」に新たに採用されたカラーリングであり、これによって市販車への技術移転を表現する他、EVスポーツカーのマーケティングへと活かす戦略だ。

タイカン ターボGT ©︎ Porsche

トーマス・ローデンバッハ(ポルシェ・モータースポーツ責任者)のコメント

私たちは未来のスポーツカーを製造しているので、外観も先進的なものにしたいと考えています。若くて革新的なフォーミュラEは、当社の電気生産スポーツカーを宣伝するための優れたプラットフォームです。」

「今シーズンに向けてのこれまでの準備は、我々が好調であるだけでなく、昨シーズンの成功をさらに発展させることができるという自信に繋がっています。だからハードルは高く設定されています。パスカルがワールドチャンピオンになったことで、我々はポルシェのシングルシーター史上、最高の場所にいます。」

フローリアン・モドリンガー(タグホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム代表)のコメント

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「最大の開発課題は、一定時間における4輪駆動の実装でした。Gen3のハードウェアでは利用可能であったため、ソフトウェアの調整に膨大な作業が費やされました。」

「4輪駆動によって加速とコーナリング速度を最大化したいと考えています。他方では、エネルギーを消費しすぎず、車のバランスをドライバーの好みに合わせて維持することが目標です。これは、当社の公道用スポーツカーにも関連する課題です。」

パスカル・ヴェアライン(1号車)のコメント

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「新しいPorsche 99X electricはとてもかっこいい車です。色がとても気に入ったので、ヘルメットも同じようにデザインしました。また、言うまでもなく、車のノーズに1の数字が入ったことを誇りに思います。タイトルを守りたいですし、新シーズンに向けた準備も計画通りに進んでいます。」

アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(13号車)のコメント

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「我々は、今自分たちがどこにいるのか、それを知る事が出来る事に興奮しています。規則に大きな変更はありませんが、4輪駆動、新しいタイヤ、そしてパワートレインの進化は、状況を少し変えるかもしれません。私は楽観的で、12月初めにサンパウロに向かうことを嬉しく思っています。ファンの皆さんが我々の新しいカラーリングを気に入ってくれることを願っています。」

既にチームの目はGen4へ

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今回ポルシェが導入するパワートレインは、基本的に成功を収めたシーズン9〜シーズン10で使用していたものの正常進化型であるという。そして他のメーカーと同じように、リソースの一部をGen4への開発へと割いている。

ポルシェ・フォーミュラEの代表であるフローリアン・モドリンガーはイギリスThe Raceに対し「はい、Gen 3 Evo用パワートレインは新しくホモロゲーションを取得し、現在はすでにGen4コンセプトの検討に入っています。」

「これは、最もパフォーマンスが向上すると思われる箇所に、リソースを正確に割り当てる必要があることを意味します。我々のパワートレインを見ると、すべての領域を実際に検討し、昨年のパワートレインの進化版として、すべての小さな特定の領域を改善しようとしました。」

「これは、車、パワートレイン全体、パワートレイン周辺に開発が行われていることを意味します。私たちはそこにまだポテンシャルがあると考えてました。その結果、昨年の仕様と比較しすべての細かい箇所を改善しました。」

ポルシェはシーズン9とシーズン10を比較すると、予選のパフォーマンスが大幅に向上した事で知られている。これはGen3向けの”特殊な”ハンコックタイヤの理解が進んだからであると言われている。

新しいタイヤとルールが、勢力図を変える?

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シーズン11と来たるGen3 Evo時代では、ハンコック製の新しいコンパウンドが導入される。ポルシェはこのタイヤをいち早くテストしたメーカーの1つであり、4月には既に新コンパウンドをテストしていた。

新シーズンに向け、ハンコックのサイドウォールから一部の素材が取り除かれたと言われているが、更なる大きな変化点は、コンパウンドの変更である。以前のタイヤには2 つのコンパウンドがあり、タイヤの内側半分には柔らかいコンパウンド、外側は硬いコンパウンドで構成されていた。Gen3 Evo 向けのハンコックタイヤではコンパウンドが 1 つだけになり、よりレース向きかつ劣化しやすくなったという。

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ハンコックタイヤへの理解において、他チームよりもポルシェが優れていた要因として、技術の他に経験の差も大きい。実際、ポルシェ代表のフローリアン・モドリンガーや他のエンジニアは、ポルシェ入りする前にABTにてDTMを戦っていた経験を持つ。DTMでは当時ハンコックタイヤが使用されており、その点からハンコックタイヤへの特性を理解していたと考えられる。

モドリンガー氏によると、

「鍵となるのは、最高のパフォーマンスが必要なラップで、タイヤ状態を適切に保つことです。つまり、片方の車軸だけが完璧な状態にあるのではなく、フロントタイヤとリアタイヤ両方が完璧な状態にあるということです」

「劣化や熱劣化は起こるでしょうし、どのトラックでどのタイヤがより劣化するかを見極める必要があります。そして私たちは、適切な対策でこれに対抗してきました。」

モドリンガー氏いわく、新しいGen 3 Evo向けコンパウンドは「これはタイヤ周りの戦略を複雑にし、40分のフリー走行でさえ走行距離を節約するチームが見られるでしょう。」と語る。

「最も準備が整っていて、フリープラクティスでの走行が最も少ないドライバーが、予選で最も恩恵を受けることになるでしょう。」

「それは、そのドライバーが最もフレッシュなタイヤを持っているからです。昨年と比べてかなり異なる動きが見られることになると思います。」

また、シーズン11からは新しいレギュレーションが追加される。それが「タイヤパルクフェルメ」だ。

これは、登録されたタイヤがチームにいつ利用可能か、いつ利用できないかについて、FIAから通知された時間に従うルールだ。

新しい規則によれば、「競技の各日の最初のセッション45分前にタイヤのパルクフェルメがオープン。チームはタイヤを受け取ることができる。すべてのタイヤは検査員によってチームに提供される。」

そして、「その日最後のセッションの終了から20分後、またはレースのパルクフェルメが開いてから20分後のいずれかに、すべてのタイヤをチームがタイヤパルクフェルメに届けなければならない。なおこれは週末最後のレースには適用されない。」

なおこの規定について、タイヤが保管される正確な場所などは分かっていない。

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モドリンガーは、「共用エリアのタイヤは、温度、湿度、すべてがまったく同じであることが保証されなければなりません。

「また、他の置き場所よりも悪い場所にならないようにする必要があり、これは保証されなければなりません。また、他の人や他チームがタイヤにアクセスできないようにする必要があります。」

「セッション間での主な違いは、インラップとアウトラップでタイヤをどう扱うか、セッション間でタイヤをどう扱うか、どこに保管するか、どのタイヤセットで走るか、フリープラクティスでどのタイヤを走るか、ということだと思います。」

「テスト日が数日しかなかったため、これが鍵となるでしょう。各チームがさまざまなアプローチを考案することがわかると思います。最初の4戦、5戦の後、同様のアプローチに収束するでしょう。」

フォーミュラEのシーズン11は、11月4日から7日にかけてプレシーズンテストが行われ、12月7日にサンパウロで開幕する。

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